アーボリストとは
アーボリストは「高木の育成・管理の専門家」
「アーボリスト(Arborist)」という言葉をご存じでしょうか。その名が「Arbor(大きな木(ラテン語))」+「-ist(~する人)」に由来する通り、「高木の育成・管理の専門家」です。日本では「樹護士」とも呼ばれています。アーボリストは日本でこそマイナーな職業ですが、世界ではその社会的地位は高く評価されており、優秀な有資格者が数多く活躍しています。
主として、大きくなりすぎてしまった木や重機の入れない場所の木にクライミングし、剪定や枝おろし、場合によっては伐採も行います。木の高いところや枝先まで移動するクライミングの技術を駆使し、対象木の必要な箇所に、必要な手入れを施すことで、その木の安全で健全な成長を支えることを主眼としています。

根底にあるのは「ツリーケア」の概念
現代社会を生きる中で忘れがちなことですが、樹木も私たち人と同じ「ひとつの命」です。樹木ができるだけ健康に長生きし、また人と共存しつづけられるように、それぞれの樹木にとって最も適切な手入れを施しています。この考え方やそれに基づいた管理技術を「ツリーケア」と呼びます。
森林浴をすると心が安らぎストレスが緩和されるように、樹木は私たちの生活に欠かせない存在です。その貴重な樹木を「いかに生かすか」がアーボリストの使命であり、剪定や伐採はあくまでそれを実現するための手段にすぎません。アーボリストの根底には、常に「ツリーケア」の概念があるのです。

アーボリストの技術は世界レベル
アーボリストという職業は、その特性上危険な仕事に分類されます。残念なことに、世界そして日本でも、一部の樹上作業者が重大な事故を引き起こしてしまっています。
そうした事態を防ぐため、国内で活躍するアーボリストは、国際組織ISA(International Society of Arboriculture/国際アーボリカルチャー組織)公認の国際資格である「ISA Certified Tree Climber」や、ATI(ARBORIST TRAINING INSTITUTE®/アーボリストトレーニング研究所®)公認の資格である「樹護士アーボリスト®」を取得しています。これらは、国際的に確立されたツリークライミング技術やリギング(切った材をロープで吊り降ろす)技術、樹上での安全なチェンソー技術、樹上負傷者のレスキューなど、幅広い知識と技術を修得し、試験に合格したものに与えられる資格です。さらに、より適切な知識やスキルを身につけるため、アーボリストは資格取得後も講習と勉強を重ね、反復練習や実践現場で経験を積んでいます。
勇敢に危険な作業をする人が偉いわけでは決してありません。しかし、事故を引き起こしてしまってはお客様にも大変な迷惑がかかってしまいます。セーフティーカルチャーをしっかりと確立した上で最高のツリーケアを提供する――それが真のアーボリストです。
樹護士アーボリスト®
になるために
修得すべき技術

ツリークライミング
技術

作業の
ワークプラン

樹上
ワークポジショニング

基本的な剪定技術と
リギング技術

樹上での安全な
チェンソー技術

レスキュー/
リスクマネジメント

樹木知識と生態

危険木の見分け方
出典:ATI(ARBORIST TRAINING INSTITUTE®/アーボリストトレーニング研究所®)